金縛りの津波化

[www.chikawatanabe.comで、2005年2月16日に掲載したblogの転載です。]

「かなしばり」に相当する英語はない、という話。金縛りについて語りたい場合は、どういう現象かを長々と説明しないとなりません。「眠りの中で体は麻痺しているのに心が起きている状態で・・・」みたいな。ということで、「津波」が英語でもTsunamiというのと同様、「金縛り」はKanashibariなのでした。と言っても、Tsunamiと違ってよほどの専門家でなければ知らない言葉ですが。年末にThe Best American Science Writing 2004という本を読んでいて発見。

本の119ページにはこうあります。

Sleep paralysis is a common phenomenon – up to 60 percent of people have at least one episode, in which the brain and body momentarily desyncyronize when waking from REM sleep. (中略)The Japanese call it kanashibari, represented as a devil stepping on a hapless sleeper’s chest; the Chinese refer to it as gui ya, or ghost pressure.

中国語はあるんですね。

ためしにKanashibariでGoogle検索をかけてみました。やっぱりカナシバリに相当する英語はないよう。最初のほうに引っかかるのはこんなページ:

ふーむ。しかし、冒頭の本にあるとおり60%の人は経験している、ということは、英語圏にも存在する現象だけれど、単に名前が無いだけなんですね。

まぁ、振り返ってみれば「存在する現象だが名前が無い」というのは往々にしてありますな。たとえば「頭がキーンとする」という状態をあらわす日本語の名詞ってないですよね。英語ではbrain freezeといいます。誰でもが経験する現象なのに「頭がキーンとした」というしかないって、英語を知った時に改めて変に感じたんですが・・・。brain freezeも大差ないけど。和訳したら「脳凍」かな。

ちなみに、冒頭の本のエッセーはCracking the Harvard X-Filesというもので、「宇宙人にさらわれたと主張する人たち」について研究しているハーバードの教授の話。「金縛り」にあった状態で体の自由が利かず恐怖にとらわれているときに宇宙人にさらわれる幻覚(というか夢というか)を見る、という説もあるということで。

そういえば、日本で「宇宙人にさらわれた」って言う人、あんまり聞かないですね。昔は「宇宙人話」といえば、必ずテレビに出てくる矢追純一さんという人がいましたが、彼は今は未知現象研究学部を有するIond大学の学長さんになっておられる模様。なぜかハワイにあります。そして姉妹校はフィリピンのミンダナオ島に。未知現象研究学部にはユーフォロジー学科・超能力学科・心霊現象学科・超考古学科・ 超常現象学科・超科学科などがあるそうです。宇宙人より不思議です。

元の話に戻ると、金縛り現象にあったとき日本人(や中国人)は「幽霊が体の上に乗っている」と思い、西欧の人たちは「宇宙人に手術台にくくりつけられる」と思うということでしょうか。

それにしても、あんまり役に立ちそうも無い英語豆知識ですね。

「昨日金縛りにあっちゃったー」

と英語で雑談したいときには役立つかもしれませんが。

“I felt paralyzed during sleep last night; my mind was fully awake but my body wouldn’t move. ”

とか言うんですかな。もっと良い表現がありそうですが。こういうのは、Ask Naotakeで聞けばいいのかな・・。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。