英語と日本語-訳せない言葉

[www.chikawatanabe.comで、2005年3月11日に掲載したblogの転載です。]

この間ラジオでIn Other Wordsという本の筆者を招いた番組があった。

いろいろな言語で、「他の言語に訳せない言葉」はたくさんあり、それこそがその言葉が話される国のカルチャーを体現する、というのがテーマ。いきなり日本語の例として「Yokomeshi」という単語が出てきて、「なんのこっちゃ」と思ったのだが、「外国人との(多くの場合気まずい)食事」という説明でやっとぼんやり「あー、そういえば、そういう単語あったかな」と思った。

というわけでこの番組を聴きながら思い出した、私の「英語にならない日本語」「日本語にならない英語」です。ま、カルチャーの違い、まで行かないものもありますが。

英語にならない日本語

■ 金縛り
この間書きました。

■ 渋い
味です。渋い食べ物がない、ということもあり、味覚の仲間に入れてもらってないみたい。ワインの渋さは、味ではなく物理的刺激として感じるらしいです。「口の中に膜が張ったよう」という意味で「Filmy」と言う言葉を使う人もたまにいます。(ワイン通は「タンニン」と物質名で表現しますが。)

(以下ちょっと猥談)
■ 童貞
男も女も「virgin」です。

■ 包茎
申し訳ない、いきなり。でも、殆どの男の子は新生児のとき割礼(ちょきっと皮膚を切っちゃう。circumcisionといいます)するので、この状態は存在しないようだ。1990年ごろまでに生まれた人はまず100%に近いくらい割礼を受けていると聞いたこともある。赤ちゃんの健康によくないとかで、最近しない人も増えているらしいが。私の友達♀も、生まれてくる男の子にcircumcisionをすべきかどうか悩んでいたので、「いやー、しておけば将来問題が生じることもないから、しちゃった方がいいんじゃない?」と言ったところ、「一体全体どんな問題が生じる可能性があるの?」と詰め寄られた。客観的に問題を説明したところ、「うーむ、それは初耳だ」と考え込んでいた。

その後、村上春樹の「かえる君東京を救う」という短編の英語訳(super-frog saves tokyo)(after the quake収録)が出たところで、「包茎」というセリフがどう訳されているか見てみた。答えはphimotic。仲のいいアメリカ人にこっそり聞いてみたら、みんな知らなかった。

というわけで、これは単語がないわけではないが、殆どの人は知らない、という例でしょうか。

日本語にならない英語

■ commitment
月並みだが。「長期的な実行を伴う決意」というか「長期にわたって実行するという意思」。結婚したがらない人のことをcommitment phobia (コミットメント恐怖症)という。

■ accountability
これも前書きました。私のお勧めする訳は「落とし前をつける義務」です。responsibilityとaccountabilityの違いも以前のエントリを参照下さいませ。

■ tender
「痛いところ」といった意味で、「tender spot」と言う。sore spotとほぼ同義(ちょっとtenderの方が痛みが弱い感じかな?)。実際に体が痛いときも、心が痛いときもどちらでもOK。「弱いところ」という意味で、「あまりに好きで、判断力が鈍ってしまう」といったような時にも使う。

体のときは、「昨日したたかにぶつけて、今ではだいぶ痛みが和らいだが、まだ触ると鈍痛があるところ」がtender spot。

tenderはLove me tenderのtenderで、「優しい」という意味もある。優しいがどうして「じんわり痛い」になっちゃうのか。でも、なんだか奥が深い単語でもあります。

■ upset
ネガティブな感情のかなりをカバーする。気分を害する、とか、むかつく、とかそのあたり全般かな。日本語だと「怒った」「いらいらした」「あせった」など様々な表現を使うところがかなりupsetの一言で片付いてしまう。angry、frustrated、anxiousなど個別の表現もあるが、ちょっとそこまでいうと強すぎるときはupsetがオールマイティ。

イメージ的には、何かの出来事がある→まずはショックを感じ、upset状態に→その後angry, frustratedなど、より分化した感情が生じる、という感じもある。

■ dove-pigeon
はと。白いハトがdoveでグレーのがpigeon。どっちもハトじゃないのかい、と思うが、幸せの象徴はdoveだけ。かわいそうなpigeon。

■ rat-mouse
ドブネズミとネズミ(ハツカネズミとか)。なぜかネズミはかわいくて、ドブネズミはとても怖い動物として扱われている。Mickeyはmouseだからかわいいわけ。片手に乗るくらいのがmouse、両手でつかむような感じなのがRatとか。「道端で犬が傷ついて倒れていたから獣医に連れて行ってあげたら、これはratです、といわれた」という笑い話をラジオでしてました。(それくらい大きいratもいる、という例ですね)

あー、まだ一杯ありますが、とりあえず。何かいい例があったらコメントで書いてください。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。