話せる・聞ける英語の勉強法5

[www.chikawatanabe.comで、2004年5月9日に掲載したblogの転載です。]

「文法は二の次」という話を何度も書いた。大体の基礎を抑えたら、後は細部を完璧にするよりも、たくさん読む。たくさん読んでいるうちに正確になる。(これは日本語も一緒ですが)もちろん、良質のものをたくさん聞けば耳からも「正しい文法」が入ってくる。

で、ある程度読める・聞けるようになったところで、もう一度振り返って「正しい文法」を抑える、というのがお勧めなのだが、その「正しい文法の抑え方」によい本がThe Elements of Style。

スティーブンキングも自伝兼物語を書くコツの著書、On Writingの中で触れている本。小さくて薄っぺらで、おどろおどろしくないところもよろしい。
1. Elementary Rules of Usage
2. Elementary Principles of Composition
3. A Few Matter of Form
4. Words and Expressions Commonly Misused
5. An Approach to Style
の5章からなる。

正確に言うと「文法」の本ではない。もちろん、文法的説明もあるが、それ以外に「間違って使いがちな言葉」や、「別に間違ってはいないが、望ましくない文章」などを「より正しい言葉」「より美しい文章」に書き換える方法が載っている。例文は全て「ダメな例」とそれを変換した「よい例」が併記されていて、それを読むだけでも「なるほど、英語ではこう書くのか」と納得。

また、内容は細分化されていて、例えば2章の中だけでも、11個の項目がある。例えばUse of active voice.とかPut statements in positive form.とか。それぞれは独立しているので、別に最初からみっしり読む必要もなく、適当に興味のある項目だけ読む、ということが可能。なので、最も適切なのは「トイレに置いとく」か。ピラっと開いて、出てきたページを読む、とか。(さすがに全部一気に読み通すほど面白くは無い。少なくとも私にとっては。)

さて、この本で筆者が繰り返し言うのは、「耳で聞いたことのない言葉を書くな」ということ。英語(特にアメリカ)で書かれた文章は、どんなに難しい内容であっても、まるで話し言葉のように平易だ。そして、それがよい文章とされる。(逆に、知的な人の話し方は、まるで書いてある文章を読み上げるようだ)。ということで、耳を良くしてたくさん聞くのは、書くほうにも役に立つ。

****

なお、「正しい文法」は「口語の変遷」とともに変化している。(日本語も同じだが。)例えば、私が中学の頃は「文章の最後に前置詞をおいてはならない」とかたく言い渡された。たとえば店などで「何時まで開いていますか」と聞くのは「Until what time are you open?」が正しい、と。しかし、誰も言わんのですよ、こんな風には。じゃぁどう言うか、というと
「What time are you open until?」
最初聞いたときは、「なんて変な文章なんだろう」とあきれたが、これが普通。

Elements of Styleの5章14. Avoid fancy words.でもこう書かれている。

Years ago, students were warned not to end a sentence with a preposition; time, of course, has softened that rigid decree.  Not only is the preposition acceptable at the end, sometimes it is more effective in that spot than anywhere else.

そして書く文章でも前置詞が最後に来た方がよい例として
A claw hammer, not an ax, was the tool with which he murdered her.より
A claw hammer, not an ax, was the tool he murdered her with.の方がよい、とし、
(後者の方がsounds more violent, more like murderだから、と)、この後さらに
The worst tennis player around here is Iなど、「昔は正しかったが、もはや聞いて変なので書いても変な例」をあげ、それが変かどうかを判断するのは「A matter of ear」(普段耳にするかどうか)としている。
(ちなみに、より「良い」言い方はThe worst tennis player around here is me)

そういえば、ビジネススクールの副学長の教授が授業中に「That’s different thanなんとかこうとか」と言ったのを聞いたこともある。「differentはtoかfromしかつけちゃいけないって中学校で習ったよ」と思ったのだが。あと、よく聞くのは、
I’ve gone to Tahoe many times.
みたいに、「have gone」を「have been」の代わりに使うこと。これまた中学の頃「have gone」はどこかに行ってしまってそのままの時(赤い靴はいてた女の子はhas gone to異人さんの国だ)、「have been」はどこかに居たことがあるが、そこから帰ってきた後に使う(桃太郎はhas been to鬼が島)、と習ったのだが。これも「まぁそんなうるさいこと言わずに」というレベルになってきてるようだ。

とはいうものの、「教養の無い人が頻繁に使う言葉・言い回しだが、それをそのまま書いたら知性を疑われる」類のものはたくさんある。やはり「ちゃんとした人」が話す英語をたくさん聞くのが、正しい英語を書くためにも重要、ということでしょう。

というわけで、一家に一冊文法常備薬:
   

Amazon Japanからも買えます:The Elements of Style         
(日本でAmazon Japanから買う方が、アメリカでAmazonから買うより安い。なぜ?)

***

さて、練習です。
Tech Guru Omar Wasow: Google’s IPOのThe Tavis Smiley Show audioというところをクリック。1分7秒目からのところ。Google IPOがどんな位置づけなのか、という話。前半は簡単め、後半は難しめです。

(司会)Other than all that _____, what else is important about this ______ IPO as you see it?
(ゲスト) Well, I think it’s important to see this in _______ of the sort of _______ of Silicon Valley, so this is really being viewed as comparable to the _____ IPO or _________ IPO in the ’80s or ________ when it IPO’ed in the ’90s, so it ______ is part of an important set of __________. And it also fits a narrative which is kind of this archetypal _____ __ Silicon Valley which is a couple of boys __ _ garage who ____ __ ____ __ ___ industry, and it’s this David and Goliath story, too, where it’s _________ __ remember that when Google ________, every major media company ___ _____ tens if not hundreds __ millions __ dollars trying to establish itself as ___ Yahoo! __ ___ Internet.
(IPO’edはIPOを動詞化して、過去形にしたもの。David and Goliathは旧約聖書に出てくる有名な逸話。こちらなどごらん下さい。)

先週の答え
Jumping sudden attention legislation latest versions grabbed attention legislator porn site motivated on the on the the in the it’s a piece of you’d to a a lot of the trying to write at a(ちなみに先週の文中“And I think the virulence of some of these latest versions has”のところ、一旦、latest versions haveといいかけて、hasといいなおしています。これはhasはthe virulenceが主語だからなんですが、直前がversionsと複数なんでついhaveと言ってしまって、はっと気づいたという感じ。ネイティブの人でも考えながら話しているのがわかると思います。)

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。