IPAチャート

Listen-IT母音編では、母音をIPAチャートという図を使って説明しています。

IPAチャートとはこれ↓です。

IPA Chart

IPAチャートとは

IPAはInternational Phonetic Associationの略。この団体は皆さんおなじみの発音記号を定める国際組織で、IPAが作成しているのがIPAチャートです。

縦軸は口の開き方で、上に行くほど小さく、下に行くと大きく口を開けて発音します。横軸は舌の位置で、左に行くほど前、右に行くと後ろになります。

こういう感じです。
mouth image

(すごいがんばってKeynoteのドローツールで描いた)

さて、よく見ると、このチャート、1つの点にcutの母音とlawの母音が両方書かれています。

間違いではありません。

実はこのチャートには第3の軸も存在するのです。それは、「唇をどれだけ丸めるか」というもの。cutとlawの母音は、口の開け方、舌の位置は一緒で、唇の丸め方だけが違う音なのです。

ところが、不思議なことに、cutとlawの母音は耳で聞くとかなり違って聞こえ、むしろcutとcatの母音の方が近く聞こえてしまう・・・・のは私だけでしょうか。カタカナに引きずられているのかもしれませんが、人間の耳って不思議ですね。

cutの母音

lawの母音

catの母音

さらに、オレンジ色のマルは日本語の母音の位置なのですが、日本語の音の間にバラバラと英語の音があるのがわかって頂けるかと思います。

しかも、このチャートにあるのは短母音だけで、これ以外に、二重母音や、短母音にRがついて母音同様の機能を持つ音がそれぞれ複数あります。というわけで、たくさんあって日本人にはつらいのが英語の母音です。

科学的なチャート(科学的根拠が無いと体が受け付けない人用)

なお、実際にはIPAチャートは「口の開け方や舌の位置」ではなく、発声された音の周波数を解析して作られています。1つの母音には複数の周波数ピークが含まれており、そのピークのうち、周波数の低いものから順番にF1 Formant、F2 Formantと呼ばれます。そして、IPAチャートの縦軸はこのF1 Formant、横軸はF2 Formantの値をプロットしたものなのです。科学的ではありませんか。

下の図はある母音のスペクトログラムで、縦軸が周波数。下の方のピークから順にF1 Formant、F2 Formant、となります。

spectrogram

出典:Wikimedia

そして発音の際の「口の開け方」と「舌の位置」がF1 Formant、F2 Formantと基本的には相関するのですが、必ずしもそうではないこともあるとのこと。

また、現実問題として口の開け方や舌の位置を説明されても、なかなか正しい音が再現できないと思います。

結論:大事なのは耳で聞きわけること

ですので、IPAチャートは参考にとどめ、「耳で聞いた音を口で再現する」ことに注力するのが発音向上の鍵です。子供が言語を学ぶのと同じ方法です。そして、「耳で聞いた音を口で再現する」には2段階あって、最初が「音の違いを耳で聞き分ける」、そして次に「その違いを口で再現する」という流れになります。この2つは一方通行では無く行ったり来たりはします。聞き分けられた!→口で再現→しばらくしたら違う気が→もう一度よく聞いてみる→口で再現→・・・という感じ。

とはいえ、まずはその第一歩の「音の違いを耳で聞き分ける」を踏み出すのが大事。そしてそれを強力にサポートするのがListen-ITなのです。

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