文章編4:声門閉鎖音は音が無い頻出音

だいぶ間が空いてしまいましたが、気を取り直して再開します。今回は文章編解説第4弾で声門閉鎖音。これはglottal stopと言いまして、大変頻出するにもかかわらず学校で習うことがまずない音です。

日本語の「っ」に近い音

日本語では、小さい「っ」が声門閉鎖音に極めて近い音になります。

「っ」だけ単独では言えませんが、「しめった」は「しめた」とは明らかに別の言葉です。「だめ」と「だめっ」も違います。この「っ」のようなものが声門閉鎖音です。(音声学的に非常に正確に言うとちょっと違うのですが)。

どんな風に聞こえるのか、まずは例です。

great

「great」ですが、最後のtが飲み込んだような感じに発音されています。このtのところが声門閉鎖音です。

d t k g b pが音節の最後に来ると声門閉鎖音になることが多い

アメリカでは、greatのように言葉の最後にtの音が来る時に声門閉鎖音になりがちですが、それ以外にもd t k g b pといった音が、(言葉の途中でも)音節の最後に来た時に声門閉鎖音になるケースが多いです。Oh my God!をカタカナで冗談っぽく「オーマイガッ」と書くことがありますが、実はこれ、最後のdを声門閉鎖で発音した場合のオリジナル英語発音にかなり忠実な表記ということになります。

ただし、きちんと滑舌よく発音するときは、それぞれの元の音をちゃんと発音しますし、声門閉鎖音と元のdやtの音の中間的な音で発音されることもあります(=声門を閉鎖しつつ、dやtの音も軽く発音)。

単語の最後の「t」がアメリカ英語でどれくらい声門閉鎖音になるかを調べたレポートによれば、1101ケース中24%が声門閉鎖になったとのこと。特に10代、20代、西海岸在住者では声門閉鎖を多用するケースが多く「若者言葉」でもあります。

実際には「声門閉鎖化しても正式に聞こえる単語と、声門閉鎖化するとカジュアルに聞こえる単語」があり、その判断は中々難しいので、慣れない間は普通に全部「d t k g b p」を発音しておけば何の問題もありません。

「T-N」の声門閉鎖化

ただし、「声門閉鎖化する方が普通のt」もあります。説明の前にまずは聞いてみましょう。

partner

このように、tとnの音が続く時は、声門閉鎖音で発音される方が普通で、むしろ「t」がきちんと発音されることの方が稀です。partnerでtをちゃんと発音しようとすると舌足らずな発音になりがちで、「一体アメリカ人はどうやって発音するんだろう?」と疑問に思っていた人も多いのでは?ここで声門閉鎖音が大活躍します。

tという「舌を上顎に打ち付ける」音と、nという「舌を上顎に付ける」音は舌の位置が同じところにあるので連続して発音するのが難しいから、というのが理由と思われます。

「T-シュワ-N」の声門閉鎖化

button

こちらはtとnの音の間に、軽い母音であるシュワが入りますが、この場合のtも声門閉鎖音で発音される方が普通です。(T-シュワ-Nのシュワは、シュワの中でも特に軽く発音されるので、tとnが続けて発音されるとする辞書の表記もあります。)

これにより、rotten, forgotten, bitten, writtenなどのtが軒並み声門閉鎖化します。

声門の閉鎖を省略してはいけない

気をつけなければいけないのは、声門閉鎖音が「聞こえない音」だからといって声門の閉鎖を省略してよいわけではないということ。例えばaboutというときに、ネイティブスピーカーが最後のtを声門閉鎖音化するからといって「あばうー」と言うと、とても違和感のある言葉になります。(耳で英語を学んだ外国人でこういう発音をする人がよくいます。)日本語で「坂」と「作家」が全く違う単語なのと同じように、「abou」と「abou+声門閉鎖」は違うので、きちんと声門を閉鎖しましょう。

(余談ながら、ネイティブスピーカーは自分が声門閉鎖音を使っているという自覚が無い人がほとんどです。声門閉鎖音が何かを知っている人でも「私はそんな品のない発音は使わない」といいながら、buttonやpartnerで普通に声門閉鎖音を使っていたりします。日本語の「ん」の音には音声学的に見ると7種類の異なる音が含まれるようですが、そんなことを知っている日本人がほとんどいないのと同じです。)

おまけ:イギリスでの声門閉鎖音

イギリスのコックニー訛りや若い人の間では、アメリカでは決して声門閉鎖音にならないtまで声門閉鎖音化して、元の言葉からかけ離れた発音になります。たとえば下記動画の5:44から見てください。

You can't put a better bit of butter on your knife.

赤にしたtが全て声門閉鎖音で発音されていて、アメリカ人が聞いたら「はっ???」と聞き返すレベル。better、butterがそれぞれ「ベッア」「バッア」のようになっていますが、こうした前後を母音に囲まれたt音が声門閉鎖化することはアメリカ英語ではめったにありません。(代わりに次回説明する「弾き音」になります。)

6:30ではwater「ウォッア」と言っていますが、これも同様にアメリカ人のほとんどが目が点になることでしょう。

アメリカでもボストンのあたりでは同様の発音をする人がいるのですが、大学ではじめてボストンに行ったアメリカ人の知人が映画館でポップコーンを買ったとき

"buh-uh?"

と聞かれて、なんと言われているかわからず、何度も聞き返したら、これだよこれ、という感じでバターを指差されてはじめてbutterだとわかった、と言っていました。

 

参考:アメリカ英語でbutterのtは声門閉鎖化せず、buttonのtは声門閉鎖化することの考察

 

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Listen-ITの母音・子音の聞き分け、文章の聞き取りでリスニング力を集中トレーニング。

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